あらすじだけで面白い!魅力的な「謎」で始まる推理小説を紹介
どうも、カタダです。
ミステリー小説の「面白さ」には、「キャラが魅力的」「ハラハラどきどきのサスペンス」「トリックやどんでん返しが驚異的」などいろんな要素があります。
そんな中で僕が好きなのが、「魅力的な謎」で始まる作品。こういった作品はあらすじだけ読んでもワクワクすることが多いので迷わず買ってしまうのですが、なかなか出会うことがありません。たまに面白そう!と思い読んだら、ただ大風呂敷を広げただけのガッカリ作品だったり。
ということで、僕がこれまでに読んだ推理小説の中で、「魅力的な謎」を備えた面白いミステリー小説を厳選して紹介します。
前置きはこれくらいにしてさっそく!
1、幻の女 (ウイリアム・アイリッシュ)
※新訳版が出たばかり。
妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった!迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか?最新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。
ミステリー史に残る作品で、「オールタイムベスト」的なアンケート企画なんかでも、「そして誰もいなくなった」に続くくらいの人気を誇ります。
妻殺しの容疑をかけられた男。その時刻一緒にいたはずの女性はどこかへ消え、2人を目撃したはずの人たちも、「そんな女性はいませんでしたよ」「あなたは一人でしたよ」と証言する。
いったいどういうことなのかーー!?
日本の刑事ドラマとか、色んな作品でオマージュされてます。と書きつつ思い出したけど、世紀のガッカリ映画「フライトプラン」の謎もこれの変化形ですね。
↑どいひーな映画
本家の「幻の女」には、きちんと合理的な解決が用意されているのでご安心を。
2、九マイルは遠すぎる(ハリイ・ケメルマン)
- 作者: ハリイ・ケメルマン,永井淳,深町眞理子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976/07/01
- メディア: 文庫
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9マイルは遠すぎる アームチェアディテクティブ・ストーリーの定番。 ニッキィ・ウェルト教授は『九マイルは遠すぎる、まして雨の中ともあれば』と言う言葉を耳にし、この言葉を頼りに前日起きた殺人事件の真相を暴き出す!! 難事件を次々に解き明かしていく、教授の活躍を描く傑作短編集8編。
短編集の中の、かなりサクっと読める1作ですが、こちらもかなり有名。
「九マイルには遠すぎる、まして雨の中ともあれば」というたった一言を手掛かりに、発言者の素性を理論立てて解き明かしていく。
若干の無理もなくはないけど、それも含めて味わい深い。ミステリーの構造としては究極と言えますね。
他の短編も面白いです。
3、レベル7(宮部みゆき)
レベル7まで行ったら戻れない―。謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと自分たちが何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけない凶悪な殺人事件へと導いていく。ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間。気鋭のミステリー作家が放つ力作長編。
「レベル7まで言ったら戻れない……」そう言い残し失踪した女子高生。
パズルのようにつながる登場人物たち……。
これはいわゆる本格ミステリーとは違いますが、さすがの宮部テイストでぐいぐい読ませます。そこそこ分厚い小説ですが、いわゆる徹夜本というヤツですかね。
個人的に宮部みゆきNo1は「火車」かなという気もしますけど、先が気になるという点においてはこれが一番か。
4、大松鮨の奇妙な客(蒼井上鷹)
妻からの頼みで浮気調査をする事になった男。調査対象を尾行するが、彼が鮨屋で奇妙な行動を取り始め…(大松鮨の奇妙な客)。日常に潜む少し奇妙な出来事と意外な結末。ショートショートを含む全九作を収録。
表題作は「九マイルには遠すぎる」へのオマージュですが、この「大松鮨の奇妙な客」が、もっとも輝きを放ってます。秀逸の冒頭のトンデモ感がかなり好き。
登場人物が高級鮨屋で、空のどんぶりを出してもらうと、そこに寿司と茶碗蒸しを入れてグチャグチャにかき混ぜて食べる。店主は激怒。いったいなぜそんなことを――?というようなかなりはちゃめちゃな導入です笑。
今回紹介する中では1番マイナーかな。 他の収録作もそうですが、ひねりの効いた短編が多数収録された良書です。
5、シンデレラの罠(セバスチャン・ジャプリゾ)
わたし、ミは、火事で大火傷を負い、顔を焼かれ皮膚移植をし一命をとりとめたが、一緒にいたドは焼死。火事の真相を知るのはわたしだけだというのに記憶を失ってしまった。わたしは本当に皆の言うように大金持ちの伯母から遺産を相続するというミなのか?死んだ娘がミで、わたしはドなのではないのか?わたしは探偵で犯人で被害者で証人なのだ。ミステリ史上燦然と輝く傑作。フランス推理小説大賞受賞作。
わたしは探偵で犯人で被害者で証人なのだ――どういうことやねん!?という話。
「新車のなかの女」も有名な技巧ミステリーの名手、ジャプリゾの代表作。
良くも悪くも古典といった味わいですが、 ミステリー好きなら絶対に押さえておきたい一作。これもオマージュ的な作品を数多く生み出している印象。
6、人質カノン(宮部みゆき)
「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作、タクシーの女性ドライバーが遠大な殺人計画を語る「十年計画」など、街の片隅、日常に潜むよりすぐりのミステリー七篇を収録。
ピストルを持った強盗が落としていった手がかりは、赤ちゃんの「ガラガラ」、という不思議な展開の短編ミステリー。実際に読むとそこの「謎解き」に重きを置いている作品ではないと分かるのですが、宮部みゆきのキッチリまとめる短編のうまさと、社会問題を浮き彫りにさせるメッセージ性(ちょっと大げさかも…)が、短いながら十分な読みごたえを作り上げています。
他の収録作もいいですね。「十年計画」とか。
7、オーデュボンの祈り(伊坂幸太郎)
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島"には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?
ご存じ、伊坂幸太郎のデビュー作品、彼の魅力がすべて詰まっているといって過言ではない小説です。全体的に魅力的でシュールな謎がちりばめられていますが、一番象徴的なのが、「なぜ未来を見通せるはずのカカシが自分の死を阻止できなかったのか」という謎。
ゴリゴリのミステリーというわけではないので、世界に引き込まれぐいぐいと読まされているウチにラストを迎える印象。もちろん「謎」への答えもキチンと用意されています。
8、どちらかが彼女を殺した(東野圭吾)
最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の“現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉迫する兄、その前に立ちはだかる練馬署の加賀刑事。殺したのは男か?女か?究極の「推理」小説。
「あらすじ」に「究極の推理小説」とある理由は、「謎解き」が描かれていないから。
推理小説につきものの、ラストに探偵が謎を解き明かす場面がないため、読者は二人の容疑者のうち、どちらの容疑者が犯人なのか、自分の頭で考えなければいけません。
続編とも言うべき「私が彼を殺した」は、3人の容疑者から犯人を当てる推理小説。もちろん解決編は付いていません。推理の醍醐味を味わいたいなら、この辺の作品は押さえておきたいところ。
9、半落ち(横山秀夫)
「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは―。日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。
あまり知られていなかった「半落ち」という警察用語、そして横山秀夫の名前を全国に知らしめた名作。
妻殺害の犯行を認めている彼が、なぜ「二日間」の行動だけ固く黙秘するのか――?
直木賞の選考時、その結末にケチをつけられたことでも有名ですが(それを機に彼は直木賞と「決別」をしてしまった)、ケチをつけられるようなものではないことは各方面から証明されています。ミステリーの結末で”泣ける”というのは、案外珍しいです。
まとめ
本当はキリよく10作品を紹介したかったのですが、自分の読んだ作品の中でこの並びにふさわしいものが思い浮かびませんでした。
(むしろ誰かご存じなら教えてほしいw)
まあ、しいて言えば、東野圭吾が影響を受けたという、1973年の江戸川乱歩賞受賞作品のこれかな。
「この小説との出会いが、本嫌いだったバカ高校生の運命を変えた」――東野圭吾
熱い声にこたえて、伝説の青春ミステリー待望の復刊!
「アルキメデス」という不可解な言葉だけを残して、女子高生・美雪は絶命。さらにクラスメートが教室で毒殺未遂に倒れ、行方不明者も出て、学内は騒然! 大人たちも巻き込んだミステリアスな事件の真相は? 1970年代の学園を舞台に、若者の友情と反抗を描く伝説の青春ミステリー。江戸川乱歩賞受賞作。
「アルキメデス」という不可解な言葉を残して女子高生が絶命した――とそこから始まるミステリー。「レベル7」と同じ系統の謎ですね。個人的にはそこまでハマらなかったのですが、ミステリー好きからの評価は総じて高い気がするので、とりあえず紹介しておきます。
ということでなんとか10選になった笑。
この記事に共感してくれたり、作品に興味を持ってくれる人がいれば嬉しい限りです。
ではでは!
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